【第4回】資格者と学校の声|スクールトレーナーが現場にもたらす変化

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〜“理論”ではなく“実感”で語る、制度の価値〜


■「資格を取っただけじゃ、見えないものがある」

スクールトレーナー制度は、まだ始まったばかりの制度です。
でも、その現場ではすでに、子どもたちと向き合いながら日々支援をしている人がいます。

そして、そんな支援を受ける側――学校の先生たち、保護者の方々。
今回は、実際に資格を取得した理学療法士の声と、学校現場からのリアルな反応をご紹介します。

制度の説明だけでは伝わらない、“人の言葉”だからこそ伝わるものが、きっとあるはずです。


■資格者の声①|「身体を見るプロが、学校にも必要だった」

第1回認定試験に合格した理学療法士・川本さん(島根県)は、制度設計にも関わった方です。

「病院では“けがをした後”に関わるのが理学療法士。
でも、スクールトレーナーは“けがをする前”に予防の視点で学校に入れる。
これは、理学療法士の新しい社会的役割だと思います。」

川本さんは、島根県の小中学校でストレッチ指導や運動器検診の支援を行っており、
子どもたちからの反応を通じて「早く知れてよかった」「これで安心できる」といった声を実感しているそうです。


■資格者の声②|「子どもの“なんとなく”に気づける専門職」

別の認定者である理学療法士・Kさんは、保健室と連携しながら子どもたちと接しています。

「担任の先生が“あの子、最近姿勢が悪いな”と思っても、それが筋力の問題なのか、柔軟性なのか、判断が難しいこともある。
でも、私たちなら“この動きが苦手だからかもしれない”と見立てられる。
見立てができる人が学校にいるというのは、大きな意味があると思っています。」


■先生の声|「誰かが“体”のことを見てくれる安心感」

中学校の保健体育の先生はこう語ります。

「これまでは、けがのことも姿勢のことも、全部こちらが見なきゃいけなかった。
でも、スクールトレーナーの方が来てくれて、“体のことは任せてください”と言ってくれる。
本当に、頼もしい存在です。」

先生自身の負担軽減という側面だけでなく、専門性のあるアドバイスが子どもたちの信頼を生んでいると感じているそうです。


■保護者の声|「本人が前向きになってくれた」

とある小学生の保護者の方からは、こんな声も。

「ずっと体育が苦手で、体育の授業の前になるとお腹が痛くなる子でした。
でも、スクールトレーナーさんが“この動きが苦手なのは、体の使い方のクセかもしれない”と教えてくれて。
それからは、家でも一緒にストレッチをしたり、“今日はうまくいった”って報告してくれるようになりました。」

子どもの中にある「できない」のモヤモヤに、“理由”を与えてくれる存在
それが、スクールトレーナーなのかもしれません。


■制度の価値は、“関係性の中”にある

スクールトレーナーの活動は、1回の講習や指導だけで完結するものではありません。
日々の学校生活の中で、先生や保護者と一緒に、子どもの身体を見守り続ける関係性をつくっていく仕事です。

制度があっても、それを活かすのは“人”の力。
だからこそ、この制度には大きな可能性があると、私は思っています。


■次回は最終回|制度の未来と、私たちにできること

いよいよ次回は最終回。
スクールトレーナー制度の今後の展望や、全国への普及に向けた課題、
そして、理学療法士や保護者がこの制度とどう関わっていけるのか――。

“制度”の話から、“私たちの社会”の話へ。
そんなテーマで締めくくりたいと思います。
続きはこちら↓
【第5回】スクールトレーナーのリアル|学術大会で感じた“教育と連携”の本質とは?

参考サイト
公益財団法人 運動器の健康・日本協会
 https://www.bjd-jp.org/trainer
 ※制度概要、資格取得条件、設立経緯など
山陰中央新報(島根県での取り組み報道)
 https://www.sanin-chuo.co.jp
 ※資格取得者が活動する様子、地域のモデル事業紹介

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