はじめに|学術大会で見えた“生の声”
先日、第60回日本理学療法学術大会に参加し、「スクールトレーナー」に関するセッションを聴講してきました。
登壇されていたのは、制度の立ち上げや現場運営に深く関わる中心人物の方々。
これまで資料でしか知らなかった制度が、一気に“現実味”を帯び、
理学療法士としての新たな可能性に胸が高鳴ったのを、今でも覚えています。
今回の記事では、そんな“リアルな声”から感じたことを、正直に、率直に綴ります。
制度の真意|「数より質」「協働の仕組みづくり」
セッションで印象に残った言葉があります。
「年間の資格取得者数を120人に制限しているのは、単に増やすのではなく“質を担保する”ため。
そして、スクールトレーナーでなければ学校支援ができないというわけではない。
県内にいるスクールトレーナーが中心となり、理学療法士が教育に関わっていく流れが大切なんです。」
これは、制度を“入口”とした理学療法士の教育参画への呼びかけでした。
スクールトレーナーの資格がなくても、地域の中で子どもたちの体づくりを支える道はある。
ただし、そのためには「教育」や「学校現場」への深い理解と、「他職種との協働体制」が欠かせない――そう強く感じました。
「教育」という立場を忘れないために
印象的だったのは、運動器検診の話です。
法改正により、指導の状態を評価する新たな視点が加わったことで、
保健室の先生や養護教諭の方々がその判断や対応に戸惑っているという現状も。
「スクールトレーナーは、運動器検診そのものを担うのではありません。
健診の後に“どう教育として関わるか”が我々の本質的な役割です。」
この言葉は、まさに制度の根幹を語っていました。
評価や指導、支援は“医療”ではなく“教育”の一部として存在する。
私たち理学療法士がその立場で関わるには、謙虚さと俯瞰が求められると痛感しました。
一人ではなく「チームで関わる」意識
学術大会を通して、私は強く思いました。
「スクールトレーナーになりたい」
ですが、それ以上に感じたのは――一人ではできないという現実です。
養護教諭、学校医、教育委員会、自治体、運動器の専門団体…。
あらゆる関係者と手を取り合い、チームで取り組むことが何より重要だと実感しました。
理学療法士一人の技術ではなく、「連携」が子どもたちの未来を支えるのだと。
日々の技術が、現場で生きる
もうひとつ。
現場でニーズとして挙がっていたのが、「テーピングの巻き方」「ケガの予防指導」「靴の選び方」など。
これは、私たちが日常で当たり前にやっていることです。
「特別なスキルではなく、理学療法士の日々の技術が、現場で求められている」
それを聞いた時、自分にもできることがあるかもしれないと思えました。
スポーツ、脳神経、小児、呼吸…それぞれの専門性を持ったセラピストが集まることで、
多様な視点から、子どもたちの“体と心”を支えていける。
そんな未来に、私はわくわくしています。
まとめ|スクールトレーナーは「制度」ではなく「姿勢」
今回の学びを通じて、私はこう思うようになりました。
スクールトレーナーとは、資格ではなく、教育に向き合う“姿勢”なのだと。
理学療法士として、どう社会に貢献していくか。
教育という現場で、どう信頼される存在であり続けるか。
スクールトレーナーという制度は、その入口であり、きっかけにすぎないのかもしれません。
私は、今後も学びを深めながら、
多職種と連携し、子どもたちの健康と運動を支える“教育者としてのセラピスト”を目指していきます。