学校では座っていられるのに、家ではダラ〜ン?

運動が苦手な子の支援

習慣で変わる体幹サポート法


1. 「家だとすぐゴロゴロ…」その背景にあるもの

「学校ではちゃんと椅子に座れてるのに、家だとすぐ寝転んじゃうんです」

そんな声を、保護者の方からよく耳にします。

子どもって、場所によって行動がガラッと変わるんですよね。

でも、それは「気のゆるみ」や「やる気の問題」だけではありません。
その子の“体の感覚”や“習慣”が影響していることが多いのです。

私自身、理学療法士として小児の支援に関わる中で、
家庭と学校で“姿勢の違い”が出る子によく出会ってきました。

今回は「姿勢が崩れやすい子」にとって、環境や習慣がどう影響するのか
そして“家庭でできるちょっとしたサポート”をご紹介します。


2. 家で見られる「ダラ〜ン」姿勢あるある

たとえば、こんな様子はありませんか?

  • 宿題のとき、椅子に浅く座って背もたれにダラ〜ン
  • 床に座っていると、気づけば横になっている
  • テレビを見るときは、完全に寝そべってリラックス状態
  • 姿勢を直しても、数分でくずれてしまう
  • そもそも、座っているのが“つらそう”に見える

これらの姿勢のくずれには、実はちゃんと理由があります。


3. なぜ家だと姿勢が崩れやすいのか?

🔸 理由1:環境による「緊張感の違い」

学校では、“姿勢を保たないといけない”空気感が自然にあります。
でも家は、リラックスできる空間。だからこそ、体幹の支えが弱い子ほど崩れやすくなります。

🔸 理由2:「姿勢保持」の習慣が育っていない

長く同じ姿勢を保つためには、体幹を支える筋力と“続ける習慣”の両方が必要です。
家ではその“座り続ける習慣”がそもそも定着していないことが多いのです。

🔸 理由3:「止まる」動作の感覚が未熟

体をピタッと止めるためには、**重力に逆らって体を支える感覚(前庭覚)**が必要です。
この感覚が未発達だと、体は自然と“崩れやすい位置”に戻ってしまいます。


4. 習慣を整える!家庭でできる体幹サポート

▶ ① 姿勢スイッチを入れる「習慣のきっかけ」づくり

  • 宿題前に「背中シャキーン体操」をする
  • 姿勢が崩れたら「スーパーヒーローポーズ!」と声かけ
  • 座る前に「クマ歩きでイスまで行こう」など、動きから入るのも効果的

▶ ② 環境の微調整で「座りやすさ」を整える

  • 足がぶらぶらしないよう足台を置く
  • 背中にクッションを入れて“真ん中で支える”感覚をサポート
  • 机と椅子の高さを再確認(子どもの成長に合わせて調整)

▶ ③ 時間を区切る・途中で“体を動かす”休憩を

  • 10〜15分ごとに「のびのびタイム」など体を動かす小休憩を入れる
  • 動物歩き・雑巾がけ・ケンケン・バランス遊びなど、短い運動でもOK
  • “じっとする”→“動く”のリズムをつくることで、集中も続きやすくなります

5. まとめ 〜“座る力”は、習慣と環境で育てられる〜

姿勢がくずれてしまうのは、やる気や性格のせいではなく、
その子の体の土台(=体幹)や、育ってきた習慣の影響かもしれません。

学校と家庭で姿勢が違うのは、ごく自然なこと。
でも、家庭でもちょっとした習慣や環境を整えるだけで、
子どもたちは「支えられる体」を少しずつ身につけていけます。

今日からできることを、少しずつ。
子どもたちが、楽に・自信をもって“座れる”毎日を過ごせるように、
私たち大人が、そっと支えていきましょう。


参考文献

JPCスポーツ(2024). 姿勢崩れの原因と家庭での支援方法

佐藤哲史・森田哲史(2020). 動作感覚の教科書. 黎明書房.

Ayres, A. J.(2005). 感覚統合と運動発達. 明石書店.

日本小児理学療法学会(2022). 子どもの運動発達と理学療法. https://jspt.or.jp

Papamo(2023). 体幹を鍛える親子あそび9選

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