〜「水に慣れる」から始めよう!安心して泳ぎを楽しむための第一歩〜
はじめに|「水が怖い」気持ちは自然なこと
「シャワーが顔にかかるだけで泣いてしまう」
「プールに入る前から怖がってしまう」
そんな子どもを見て、「大丈夫かな?」と不安に思う保護者の方は多いのではないでしょうか。
実は、小学生の中でも「水が怖い」「顔がつけられない」という悩みはとても多く、学校の水泳授業でもよく見られる課題のひとつです。
この苦手さには、
- 感覚の過敏さ
- 安心できる環境の不足
- 過去の失敗体験
など、さまざまな背景があります。この記事では、水への恐怖をやわらげ、顔つけができるようになるための家庭でできるステップを紹介します。
1. 「水が怖い」のはどうして?
水への恐怖には、以下のような理由があります。
感覚過敏(特に顔まわり)
水が肌に触れる感覚、目・鼻・口への刺激に敏感な子は、水に入ることそのものが強いストレスになります。
不安と予測不能
「次にどうなるか分からない」ことが、怖さにつながります。プールでの急な水しぶきや、沈む感覚が予想できずにパニックになる子もいます。
信頼できる体験が少ない
「誰かと一緒に楽しく水と触れ合った」経験が少ない子は、水=怖いと感じやすくなります。

2. 家庭でできる!“水慣れ”の3ステップ
ステップ1|水に触れるのを楽しむ
まずはお風呂や洗面所で、水に慣れるところからスタート。
- 手で水をすくってパシャパシャ
- タオルに水を含ませて顔にチョンと触れる
- シャワーを遠くからミスト状にあててみる
※「いきなり顔をつけさせる」のはNG!まずは“楽しい”が優先です。
ステップ2|顔をつける練習は“遊び”から
怖さを取り除くには、“遊び”の中でチャレンジするのが効果的です。
- 洗面器に水をためて、しゃぼん玉を吹く
- ストローで水にブクブク泡を立てる
- 水鉄砲で遊びながら、顔に水がかかる感覚に慣れる

「イヤになったらすぐやめてOK」にしておくこと。安心感があることで、次への挑戦につながります。
ステップ3|一緒にやることで“安心”をつくる
「一人でできるようにさせる」よりも、「一緒に楽しむ」が大切です。
- お風呂でお父さん・お母さんと一緒に数秒だけ顔をつけてみる
- 水中メガネやキャップを使って、“本物ごっこ”をしてみる
- 顔つけの秒数を数えて、ゲーム感覚で練習する
声かけのコツ|「がんばったね」を積み重ねる
- 「今日はちょっとだけ顔に水つけられたね!」
- 「すごい、3秒もチャレンジできたんだね」
- 「イヤって言えたのも立派なことだよ」
できたことに目を向け、小さな成功体験を積み重ねましょう。
おわりに|“水への安心感”が、すべての始まり
水が怖い子どもにとって、「泳げるようになる」は大きな目標ですが、まずは“水を楽しめるようになる”ことが一番のステップです。
家庭での小さな経験が、子どもにとっての「大丈夫」につながり、やがて泳ぐ楽しさへと変わっていきます。
次回は、「顔つけができるようになったあとのステップ」について紹介します。
次の記事へ → [第2回|顔はつけられるけど“潜れない”子への支援法]
参考サイト・文献
『感覚統合と運動感覚の教科書』(医道の日本社)
文部科学省「水泳運動に関する安全配慮について」
子どもの発達と感覚統合(日本感覚統合学会)