はじめに:平均台でふらつく子どもの本当の理由とは?
「体育の時間、平均台の前で固まってしまう」「少し進んでも怖くてすぐ落ちてしまう」——そんな悩みを抱えるお子さん、実は少なくありません。
この“苦手”の背景には、バランス感覚や体の使い方といった「感覚の発達のアンバランス」が関係していることがあります。
この記事では、感覚統合の視点から平均台が苦手な理由を解説し、家庭でできる7つのバランス遊びをご紹介します。
平均台が怖い理由とは?
◆ 前庭覚(ぜんていかく)が未熟または敏感
体の揺れや傾きを感じる“前庭覚”が未熟だと、少しの揺れでも「落ちそう」「怖い」と感じやすくなります。
◆ 固有受容覚(こゆうじゅようかく)の弱さ
踏ん張ったり、体を支える力をうまく感じられないと、バランスを取るための力加減が難しくなります。
◆ 身体図式(身体イメージ)が不安定
自分の体の大きさ・動き・位置をイメージする力が育っていないと、うまく動けず不安になります。
◆ 視覚に頼りすぎることで逆に不安定に
落ちるのが怖くて下ばかり見ると、姿勢が崩れ、重心が下がりバランスが取りづらくなってしまいます。
家庭でできる!バランス感覚を育てる遊び7選
① ガムテープライン歩き
床に1本線を貼って、その上をまっすぐ歩くだけでも前庭覚・バランス感覚が刺激されます。
→ 壁のシールなど“前を見て歩く”工夫もおすすめ。
② クッション橋渡り
座布団や雑誌を並べて橋に見立て、不安定な足場を歩きます。
→ 固有受容覚と足裏の感覚に働きかけます。
③ 片足立ちチャレンジ
テレビを見ながら、歯磨きしながら、日常の中で気軽にバランス力を養いましょう。
④ クマ歩き&手押し車
四つん這いで進むクマ歩きや、大人が足を持って腕で歩く手押し車は、体幹や肩周りを育てます。
⑤ タンバリンタッチゲーム
線の上を歩きながら、前方にあるタンバリンやぬいぐるみをタッチ。
→ 視線が自然に前を向くことで姿勢保持が安定します。
⑥ 安心できる“高さ”体験
マットや布団の上を歩く、小さな段差に乗るなど、安心感のある中で“高さに慣れる”経験を積ませましょう。
⑦ 手をつないで安心体験
手をつないで歩くだけで子どもは安心しやすくなります。慣れてきたら少しずつ手を離すステップへ。
子どもが前向きになる声かけのヒント
- 「1歩でも進めたね、すごい!」
- 「さっきよりバランス取れてたよ」
- 「できたことに気づいているよ、嬉しいね!」
“怖い”が先に立つ子には、できているところを見つけて伝えることが大切です。
遊びとして楽しみながら体験できるような工夫も、子どものモチベーションを引き出す鍵になります。
おわりに:小さな「できた!」が、大きな成長のきっかけに
平均台に挑戦することは、単にバランス力をつける練習ではありません。
「怖さを乗り越えた」「できた!」という成功体験が、子どもの自己肯定感や挑戦意欲につながっていきます。
小さな一歩でも大切にし、子どもの成長を見守り、応援していきましょう。