【第3回】島根県で始まっている、子どもと“体”をつなぐ実践

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〜スクールトレーナー制度のモデル地域を訪ねて〜


■「もう始まっている場所がある」

スクールトレーナーという制度が正式に動き出したのは2024年ですが、
その“ずっと前から”、この取り組みを模索し、実践してきた地域があります。

それが、島根県

制度の設計段階から関わってきた大学・医師・理学療法士たちが、学校と一緒になって子どもたちの身体を見守ってきた場所。
この地域で起きていることを知ると、「あ、スクールトレーナーって、こういうことなんだ」と、ぐっと輪郭がはっきりしてきます。


■制度を生み出した、もう一つの“現場”

スクールトレーナー制度は、文部科学省や運動器の健康・日本協会などが関わっていますが、
その原型は、島根大学医学部の整形外科チームが10年以上かけて築いてきた学校支援の取り組みにあります。

2012年には制度設計の提言に関わり、2023年には第1回目の認定者として3名が島根県で誕生。
このうちの1人は、制度設計や講習講師も務めています。

つまり、「スクールトレーナーという仕事」を現場で形にしてきたのが島根なのです。


■大田市でのモデル事業|医師×PT×教育現場の連携

島根県大田市では、2023年からモデル事業として、医師・理学療法士が市内の小中学校に訪問しています。
内容はとてもシンプルだけど、本質的。

  • 運動器検診の結果をもとに、個別の運動アドバイス
  • 柔軟体操やストレッチを一緒にやりながら、体の使い方を指導
  • 成長痛やスポーツ障害について、子どもや先生たちにわかりやすく説明

こうした支援は、年に1〜2回だけのものではなく、定期的・継続的に実施されています。
医療と教育がつながるモデルケースとして、全国からも注目されています。


■子どもたちの反応は?

理学療法士がやってくると、子どもたちは最初こそちょっと緊張した様子。
でも、実際に体を動かしていくと、どんどん楽しそうな表情に変わっていきます。

  • 「ぼく、前よりかがめるようになった!」
  • 「体育の前にストレッチすると、けがしにくいんだね」
  • 「大人の人がちゃんと見てくれてるって、なんかうれしい」

そんな声が聞こえる時間は、たった数十分でも、すごく意味のある時間だと思います。


■“体を見てくれる人がいる”という安心

島根県での実践を見て、改めて感じたことがあります。

それは、子どもたちにとって、身体のことを専門的に見てくれる大人が学校にいるというのは、とても大きな安心になるということ。

体育の授業や部活で「これ、痛いけど大丈夫かな…」と誰にも言えないまま我慢している子。
姿勢が悪くて先生に注意され続けて、自信をなくしていく子。
そんな子どもたちの“声にならない声”に気づけるのが、スクールトレーナーなのかもしれません。


■次回は「資格者や学校関係者の声」にせまります

第4回では、実際に資格を取った理学療法士の声、学校の先生や保護者の声を集めて、
「スクールトレーナーがいることで、何が変わったのか?」に迫っていきます。
続きはこちら↓
【第4回】資格者と学校の声|スクールトレーナーが現場にもたらす変化

参考サイト

公益財団法人 運動器の健康・日本協会
 https://www.bjd-jp.org/trainer
 ※制度概要、資格取得条件、設立経緯など
山陰中央新報(島根県での取り組み報道)
 https://www.sanin-chuo.co.jp
 ※資格取得者が活動する様子、地域のモデル事業紹介

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